大判例

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仙台高等裁判所 昭和26年(う)753号 判決

刑事訴訟法第三百一条の趣旨は、裁判官に予断を抱かしめないところにあるのであるから、請求の順序自体に重点があるのではなく、証拠調そのものの順序に主たる意義が存するのである。しかも、わが刑事訴訟法にあつては、請求と取調との段階は区別できるのであるから、本条は請求することまでを制限したのではなくて、証拠調を制限した趣旨であると解し得るのである。仮に、検察官が他の証拠調の施行前に、所謂自白調書の取調を請求することが、違法であるとしても、証拠調の施行に付て、同条の順序を誤らなければ、予断を以て他の証拠の取調をするという虞はないから、右請求の違法は、その請求直後相手方の異議申立がない限り、責問権の放棄として、その瑕疵は治癒されるものと解するのが相当である。

本件に於て、原審第一回公判調書によれば、検察官は他の証拠の取調を請求し、その証拠調の許容施行せられないうちに、右請求に続いて、所謂自白調書の取調を請求していること所論のとおりであるが、その取調自体はその後所論のような他の証拠調が施行された後、なされているのである。しかも、その取調請求に対して、被告人及び弁護人から異議を申立てた形跡は何等なく、却て、原審第二回公判調書によれば、右請求に対し、被告人及び弁護人は、異議ない旨述べて居り、而して、その後前記の経過で右自白調書の取調がなされているのである。

従つて、原審には何等所論のような手続上の違法はなく、仮に、右検察官の取調請求が違法であるとしても、その瑕疵は治癒されたものというべきである。

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